民家トラスト

『新しい世紀、21世紀が幕開けしました。世の中が日々変化する一方で、良き伝統文化・風土は、強い意志と豊かな創造性・夢をもって次世代に守り継がなければなりません。

　私達は、日本の伝統的民家の魅力を再発見し、私達自身の手で伝統的民家を活用しながら守り、さらに発展させていくために、同等の立場でパートナーシップを創ります。私達が持っている伝統的民家への愛情や情報を交換し、新しい発想や取り組みを育てる場として、さらには資源循環型社会造りの活動をより広範囲に啓蒙・普遍化・定着させるために「民家トラスト倶楽部」を設立発足します。

　日本民家再生リサイクル協会（ＪＭＲＡ）は，1997年に発足し、全国各地から民家を愛しかつチャレンジ精神に富んだ多くの人たちが集まり、短期間に日本でも有数のＮＰＯ組織を築き上げてきました。これまでのＪＭＲＡの活動は、どちらかといえば古民家再生のための建築関連、言い換えればハード中心の啓蒙・活動でしたが、さらに民家を活用する＝ソフト面の活動を多面的に、かつ未来へ向けて行動を起こそうという機運が生まれてきました。

　私達は、私達自身が日本の伝統的民家を楽しむことのできる場や機会をつくり出す事によって、そのことが日本の伝統的民家の素晴らしさの再発見や維持・再生に繋がり、さらには次の世代に引き継ぐチャンスにつなげていければと考えています。

　なお、トラストといえばイギリスのナショナルトラストが有名ですが、当民家トラスト倶楽部は、当面は、「信頼・信用」という意味合いでトラストを位置付けていきます。近い将来には「委託・信託」という観点からの活動も包含していきたいと考えています。』

■[TRUST]:名詞・信頼、信用、委託、保管、責任、信託（財産）、
　　動詞・信頼・信用する、信じる、期待する、委託する、任す、預ける

１）各種施設のネットワークつくり
	日本全国各地に現存する日本の伝統的民家を様々な形で活用している施設および古材等をリサイクル利用した施設（ex.民宿・レストラン・各種施設）の所有者に呼び掛けネットワーク化し、情報を広く発信することによりそれらの施設利用を組織的に支援します。そのことにより日本の伝統的民家をより良好に維持・活用・再生・保存するとともに、日本の住文化を共に考え、発展させていきます。
２）ヒューマン・ネットワークつくり
	21世紀のこれからの社会的活動は、行政主導でもなく民間企業主導でもなく、一人一人の「志」を結ぶパートナーシップで進めるべきだと考えています。「民家トラスト倶楽部」はそうした意味で、施設のネットワークである前にヒューマンネットワークであらねばならないと考えています。21世紀の住文化の再生も、私たち相互、あるいはこれから新たに参加するたくさんの人との志と志のつながりによって実現されます。その場を創りだすのが，民家トラスト倶楽部の最大のテーマと考えています。
３）情報収集とデータ‐ベース化
	上記の目的のために、まず伝統的民家を様々な形で活用している施設および古材等をリサイクル利用した施設の情報収集とデータ‐ベース化に取組みます。
４）文化・イベント活動
	日本の伝統的民家を楽しむことのできる場や機会をつくるために、古民家や各種施設を活用して様々なイベント・文化活動を企画・開催していきます。
５）広報活動
	情報収集したデータ‐をＪＭＲＡの会員はもとより、倶楽部加盟施設ガイドブック・関連図書の発行等の出版活動、インターネット等を通して広く一般の人達に向けて広報活動を展開して行きます。
６）情報交換と施設運営バックアップ
	伝統的民家を様々な形で活用している施設および古材等をリサイクル利用した施設の所有者の情報交換の場をつくり、施設運営や経営のノウハウの交換・蓄積を進めて行きます。
７）コンサルタント事業
	施設運営や経営のノウハウの蓄積を進めて行く中で、コンサルタント業務が出来る力をつけていきます。また、個々の民家の再生・活用・保存に止まらず、全体としての街並・景観・風土などを守るための活動、村おこしなどの活動・コンサルタント業務をもできる体制に持って行きます。
８）将来構想
	将来的には、トラスト＝委託・信託の意味の通り、下記のような事業に取組んで行くことを視野に入れていきます。　　資産トラスト管理事業公益的目的で資産をうけいれ、または委託を受け、その資産を協会の趣旨にあった目的で用いるべく管理する。寄付金募集と資産の所有積極的な活動としてチャリティ活動を展開し、基金を募り民家トラスト倶楽部自身が古民家を取得・賃借・再生し、それらを宿泊施設として一般に貸し出するなど運用し、重要な建築物を継承していく。
９)　他団体との交流
	この活動は同じような観点から取り組まれている他の活動団体、ネットワーク、さらにはグリーンツーリズムやアグリーカルチャー活動とも連携し、より広範に啓蒙活動を行っていきます。

■ 施設選抜基準
ＪＭＲＡのミッションに合致した民家および施設であり且、構造面での規定だけでなく所有者の経営哲学・価値観・見識、さらにはサービス内容やマナー、価格のリーズナブルさ等にも触れた総合的観点から対象案件を選定します。すなわち建物の選定基準はあくまでも本物志向に徹し、イカモノは排除します。また再生民家などを収益のためだけに便宜的に活用する、コマーシャリズムのみに走る施設などは対象としません。
真の意味で優れた施設・サービスを提供する選ばれたネットワーク、倶楽部を目指します。

■ 推薦
民家トラスト倶楽部地区幹事の推薦のあった施設を、幹事会で審査・検討のうえ登録します。